アニメ・漫画作品の炎上問題について
数年前、「温泉むすめ」という地域振興コンテンツが炎上したことがありました。近年はアニメなどを題材とした「聖地巡礼」が地域経済を活性化させています。有名な例として『ガールズ&パンツァー』があり、大洗町では祭りへの参加や各店舗でのキャラクターポップ掲示などが行われています。ファンが訪れ、商品を購入し、町も潤う。双方にメリットがある理想的な形だと筆者は思います。
ところが「温泉むすめ」の場合、政府観光局のキャンペーン「Your Japan 2020」に選出されたものの、「性差別・性搾取」だと批判を受け、結果的に辞退することになりました。その後、設定の再構築を行い活動を継続しましたが、クリエイターや関係者にとっては大きな試練だったはずです。

一方、近年ではカップ麺のWeb広告がSNSで批判されましたが、企業側は積極的な反論を避け「スルー」に徹することで早期に沈静化しました。対応の仕方一つで結果が大きく変わることを示しています。
同様に話題になったのが『月曜のたわわ』です。大手新聞社の広告掲載をきっかけに「性的表現だ」との批判が噴出しました。一方で多くのファンが支持の声を上げ、クリエイターを擁護しました。結果として作品自体は継続され、むしろ社会的認知度が高まる形となりました。批判をきっかけに「表現の自由」と「ジェンダー問題」について議論が広がった事例ともいえるでしょう。
さらに、最近ではCLAMP先生の『カードキャプターさくら』を巡り「未成年キャラクターの描写」を問題視する声がありました。しかし、当時と現在では法律や価値観が異なり、後世の視点だけで過去作品を断罪することには危うさもあります。批判の一方で、多くのファンは作品を守る立場から意見を発し続けました。
創作物は現実とは異なり、物語や空想を楽しむためのものです。ガンダムを「物理法則を無視している」と批判する人はほとんどいないでしょう。それどころか各地に実物大ガンダムの立像が設置され、観光資源となっています。批判よりも「どう楽しめるか」「どう発展させられるか」に焦点を当てることが重要だと考えます。
批判するのは容易です。しかし、批判する前に一度自分で作品を創り上げてみてほしい。筆者自身、学生時代にゲームシナリオを作ろうと試みましたが完成させることはできませんでした。だからこそ、作品を生み出すクリエイターには深い尊敬の念を抱いています。
人類の文明は、想像や妄想を起点として築かれてきました。コンテンツはその延長にあるものです。安易に批判して萎縮させるのではなく、「どうすれば実現できるか」「より良くするにはどうすればよいか」と前向きに議論を重ねることが大切です。すべてのクリエイターが安心して作品を世に送り出せるように、私たちは表現の多様性を守り、創作を応援していきたいと考えています。
